[Intro] [Muted floor tom and dry metal-edged snare establish a slow march.] 数ではなく 名を呼べ 列ではなく 顔を見よ [Verse 1] 朝霧が退けば 平野は灰色だった 折れた矢の間を 書役が歩いて回った 「死者は八十七」乾く声で告げられ 私は巻物を閉じ 名を一人ずつ尋ねた 源太は左門で 幼い兵をかばった 真弓は水を運び 最後まで戻らなかった 老いた佐吉の袋に 孫の木札があった 君の名の横だけは 敵と墨書きされていた [Pre-Chorus] 数字なら閉じられる 巻物なら燃やせる けれど傷の一つずつ 鉄の内側で鳴る [Chorus] 鎧は名を刻む 歩くたびに痛む 泥へ沈んだ声を 胸の金具が包む 鎧は名を刻む 眠るたびに沈む 忘れよという命を 傷の深さが拒む 赤い漆が剝げても 黒い地金が残る 私が生きるかぎり その名も共に残る [Verse 2] 陣へ戻る道で 兵は誰も歌わない 勝ったとの早馬に 顔を上げる者はいない 配られた褒美の酒 封を切らずに並び 空いた椀の数だけ 夜の寒さが増した 私は胸当てから 刺さった矢尻を抜いた 内側の花びらが 乾いた血へ張りついた 君が結んだ黒い緒 切らずそのまま残し 一つ傷が増すたび 一つの名を結びつけた [Choir] 鎧は名を刻む 歩くたびに痛む 泥へ沈んだ声を 胸の金具が包む 鎧は名を刻む 眠るたびに沈む 勝利と呼ぶ太鼓を 傷の響きが拒む 赤い漆が剝げても 黒い地金が残る 我らが生きるかぎり その名も共に残る [Breakdown] [Low voices and floor tom continue without guitars or orchestra.] 源太 真弓 佐吉 名も聞けなかった子 敵と書かれた君 忘れられぬすべて [Guitar Solo] [Two guitars harmonize a slow variation of the blossom motif over cello and half-time drums.] [Bridge] 私は将であった 命を出した 私は生き残った 命を失った 許しを請う相手は 土の下にいる だから許されぬまま 名を背負って歩く 鎧を脱げば軽いと 誰かは言うだろう この重さまで捨てれば 私は誰になる [Final Chorus] 鎧は名を刻む 歩くたびに痛む 泥へ沈んだ声を 胸の金具が包む 鎧は名を刻む 眠るたびに沈む 忘れよという国を 傷の深さが拒む 赤い漆が剝げても 黒い地金が残る 私が生きるかぎり その名も共に残る 旗が嘘へ変わっても 名だけは嘘にしない 君を敵と記す墨を この白刃で切り裂く [Outro] [Each named voice leaves the ensemble until only the heroine remains.] 数ではない 損ではない 名があった 命があった